風邪で熱があるのに楽しげなイベントの魅力に勝てず、遊び歩いてたら今日とうとうダウンしてしまった。

たかが風邪とたかをくくっていたのだが。
起き上がるのもつらく救急車を呼ぼうかと思った。
でも待っているより這ってでも近所の病院に行った方が早いと思い直し、初診ですが…ところがるように駆け込んだ。
ドクターに診てもらうと、炎症が相当ひどいという。
体温計の数値では37度と微熱だけど、医師の所見によると状態は高熱が出ているとしか思えないほどだという(僕くらいの年齢の男性にはめずらしくないケースらしい)。

すぐさま病院のベッドに寝かされ、ばたばたと点滴の準備が始まる。
こんなのテレビドラマでしか見たことがない。
まるで病人みたいだ(笑)
幸いにもいままで入院をするほどの大病を患った経験のない僕には、なにもかもが新鮮なのである。
注射を4本くらい打たれ、血液検査と処置が同時進行ですすむ。

朦朧とするアタマで、輸液のバッグを見て、僕はへこんだ。

ユニセフのボランティア現場などでよく見かける、ブドウ糖溶液とビタミンの点滴バッグだ。
それも500ミリリットルもあるやつ。
薬の点滴の前に、まずは重篤な脱水症状と栄養失調に対処するのだとナースに説明され、静脈への管を手首につけられる。
いまどき「栄養不良」だの「脱水症状」なんて用語は、聞いているだけでトホホな気分になる。
ソマリアやバングラディシュの難民の命を救うという、あのバッグのお世話に、よもや自分がなるとは思ってもみなかった。

ようはとにかく水をこまめに飲んでください。何か食べてください。ということだった。
なこといわれても、喉が痛くて水も飲めないんだよな、と思っていた…その時。
ナースが250ミリリットルのペットボトルの水を持ってきてくれ、ぽちりとふたを開け、曲がるストローをさして枕元にそっと置いてくれた。

涙が出るほどうれしかった。
いろんなことをいっぺんに悟った気がした。

あんな小さなペットボトル初めて見た。
(資源の無駄だと思っていた)
今まで何の意味があるのか解らなかった、曲がるストローの有り難みが、やっとわかった。
寝たきりでも首を回すだけで水を飲むことができる、いわゆる吸い口として使えるのだ。

いやあ人間、自分が弱者の立場になってみないとわからないことって、あるものですよね。。。
僕の場合はほんの小さな初歩的な発見だけど。


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