オールフロー、オールストック

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今から四半世紀くらい前、僕が学生だった時代の話です。
世の中には「フロー型(時間と共に常に流れゆくもの)」と「ストック型(蓄積され保存されていくもの)」の二つの概念があり、その違いをしっかり意識することが重要である。
そんな授業を耳にタコができるほど受けてきました。

身近な例で言えば印刷物なら、新聞や週刊誌はフロー型。
文学全集などはストック型。
テレビ放送で言えば、ニュースや気象情報はフロー型。
ドラマやドキュメンタリー番組などはストック型。

一見どちらでもいいような気もいたしますよね。

でもこの二つをごっちゃにして混同いたしますと、けっこう面倒で不都合な事態を引き起こすのであります。
自分の経験でいいますと、かつて毎週の朝早く、生放送でニュース番組を担当していたのですが、視聴者からの要望でそれを同じ日の夕方に再放送せよ、という命令を受けました。
放送時間が早すぎるので見そびれてしまう、夕方落ち着いた時刻にゆっくり見たい、というごもっともな要求です。
でも僕は頭を抱えてもだえ苦しみました。
ほとんど番組の体をとって見えるとはいえ、ニュースはニュースです。
時々刻々と状況は変化しているし、その日の朝は事実であったことが夕方にも事実であるとは限らない、典型的な「フロー型」の情報、それがニュースなのです。
台風接近の臨時速報が入り、前夜から徹夜で最新情報を集めて天気図を作り、朝一番の生放送で解説した日などは再放送用に一部を編集でカットする地獄のような12時間となります。
とうぜん台風の位置はかなり移動してますから、内容の整合性もめちゃくちゃ…再放送自体がナンセンスだろーが!

すいません、つい愚痴とぼやきの前置きが長くなってしまいました。汗。

「フロー型」と「ストック型」の話でしたね。
経済の分野でも、現金などのように常に流れ続けることによってこそ価値がある「キャッシュフロー」と、資産のようにため込めばため込むほど価値がある「ストック」の違いを勉強された方もいらっしゃるかもしれません。

実は最近、少なくともデジタル化された情報分野においては、この伝統的な「フロー」「ストック」の概念が、意味をなさなくなる時代が来ることに気が付いたのです。
身近な例で言いますと、mixiの僕のこのページがそうです。
古くなってもしっかり皆さんに読んでもらいたい「ストック型」の日記と、一定期間を過ぎたらほとんど読む必要のなくなる「フロー型」の日記を、自分の中でなんとか区別して整理しながら書きたいと、へんてこな努力を一年間続けてきました。

が、次の時代は「オールフロー、オールストック」でしょう。
古川亨氏と対談した坂村健氏の言葉を借りると、
「全記録・全検索」の時代ということになるのでしょうか。
簡単に言えば、今まで見たい番組を選んで録画設定していたテレビのビデオ録画が、24時間録画がデフォルト(標準)になるわけで、つまりビデオデッキから録画ボタンが無くなる時代になったわけです。
ネットで言えば、アメリカ政府は「アメリカン・メモリー」といって建国以来のデータをすべてデジタル化して残すプロジェクトに着手しています。Internet Archive、といういったん書き込んだ情報は削除しても全部記録するプロジェクトもあります。

こうなると、僕ごときがmixiでちまちまと自分のページを、やれストック型だの、やれフロー型だのと整理しようとしていることが、アホラシクなってしまいました。
とんでもなく時代遅れの作業をしていたような気がして、自分でも笑ってしまいます。
というわけで、来年からmixiの使い方を、スギィは若干改めることにしました。

(やっと本題かよ)

具体的に言えば、今まで頭を悩ませていた編集とか整理、といった作業を来年からはいっさい放棄します!
(これって職業病みたいなもんだっただろうなぁ)
来年からはすなおにmixiの仕様にしたがって、思いつくままにダラダラとアップします!ジャンルを問わずお気楽な日記が無秩序に書かれることになるでしょう。
そっちの方が単に楽だからってのが本音か?(笑)

今年最後の日記、大げさなタイトルを付けましたが、来年もmixiを楽しく使っていきたいと思いますので、よろしくお付き合いのほど、お願い申し上げます。


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