グルメ、うどんを茹でる

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昨夜のことです。
僕はおなかがすいたので、サッパリと美味しいざるうどんでも作って、生姜とワサビを入れた冷た~い麺ツユでいただこうと思いつきました。

僕は好き嫌いがない方ですが、茹ですぎた麺類(つまりアルデンテじゃないうどん)と鮮度の落ちた魚介類だけは食べたくないのです。

で、あらかじめザルを冷凍庫にいれ、やや濃いめに作ったツユは氷を入れ、氷が溶けた頃に丁度いい薄さになるように準備しました。
茹で上がったらすかさず冷水で、キュッとしめて手早く水洗いするのがコツなので、冷蔵庫中の氷をつかってたっぷりと仕上げの冷水も用意しました。

後から薬味などをあわてて用意していては、うどんの食べ頃を逃してしまうので、もちろんあらかじめテーブルの上で箸とともに待たせておきます。

そうして沸騰した寸胴鍋にうどんを放り込むこと6分30秒、時計と鍋に目を走らせながら、もっとも真剣な時を迎えます。
茹で上がり。
サッと布巾で鍋をつかみ、えいやっとばかりに流しに運び、流水の下のザルにあけます。

アジッ~!

左手の人差し指に激痛が走りました。
鍋の金属部分にもろに指先が触れてしまったのです。
はずみで、麺は危うくザルからそれそうになり、どうにか両手でそれを修正してザルに納めます。
とにかく冷水で洗うのだけは手際よくやってしまわなければなりません。

どうにか上手に、美味しそうなざるうどんが完成。
と思ったら気がゆるんだのか、例の指先が激しく痛み出しました。
おおむね痛みには比較的強いと自負している僕ですが、手の指先の火傷というのは、末梢神経が集まっている上に創傷と比べて面積が大きいためにかなり痛むのです。

とてもじゃないけど、これではおちおち味わう気分ではありません。とりあえず氷に指先を押しつけてしばらく冷やします。
でも氷からちょっと離れると焼けるように痛い。

キシロカイン!
と叫びそうになりましたが、ここで火傷の手当なんぞしていたら、うどんが伸びてしまいます。
美味しいうどんが、伸びてまずくなってしまっては元も子もない。そもそも何のために僕の左手はこんな犠牲になってまで目的を遂げようとしたのか。
本来の目的である旨いうどんを食べなければ、左手の犠牲も無駄死に同然ということになり申し訳がたたない。

とかなんとか考えたのかどうかわかりませんが、とにかく左手は氷に押し当てたまま、右手だけで盛りつけ、薬味を入れ、うどんを大急ぎで味わいました。

シコシコと歯ごたえで冷たく、しかし味は痛みのあまりよく覚えていません。
もちろん食べ終わった後、すぐにキシロで痛み止めをしました。
が、今、僕の人差し指には指紋がありません。(泥棒をするなら今がチャンス?)

僕のこの行動は、果たして正しかったのでしょうか?

と思いつつ、ふと、以前にもこんな経験したような気がするなぁ、と思い出しました。
本棚を探したら在ったのです!(写真1)
1987年に出版されたグルメガイドブックで、まだエッセイストをして小遣い稼ぎをしていた26~7歳頃の、僕のコラムが。。。(写真2)

読み返してみると恥ずかしい。
うどんの代わりにスパゲティですが、やはり痛い目にあっているのです。(写真3)

ちなみにこの本は、なんせ20年近く昔の本ですので、当然のことながら絶版。文章もいかにも80年代の文体で顔から火が噴き出しそうであります。

ようするに僕は20年近くたっても全く
成長してない。。。


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