Nottinghill

「ビデオ・オン・デマンド」という言葉を15年くらい昔に、一生懸命に会う人ごとに説明していたのを思い出します。
いわゆる、インターネットって何? インタラクティブって何?、という質問にわかりやすく答える例の一つとして。

別に「ビデオ・オン・デマンド」だけがインタラクティブじゃないことを、後になって僕も知るわけですけども、当時は他に例える表現がパッと思いつかなかったのです。

レンタルビデオ店に行かなくて、リモコンで好きなビデオが見られるんだよ、って説明がわかりやすいかなと思ったのでしょう。
ところが僕が、実際に自宅でビデオ・オン・デマンドを体験したのは今夜が初めてなのです。光ファイバーがいくら容量多いと行っても電話線で映画一本みるなんて、説明していてもSFみたいで実感が伴いませんでした。

で記念すべき、すぎやんのビデオ・オン・デマンド一本目でどの映画を見ようかな~と迷ったわけです。
なにせ、電話線で送られてくる映画なんぞこの目で確かめないと信じられない気分だったし、それが名作であれ駄作であれ「初めての映画体験(ハート)」になるわけですもん。

ところが探せど探せど古い映画ばっかりで、まるで田舎のレンタルビデオ店に入ったみたいです。文句は言えません、NHKの受信料ほどしかお金払っていないのですから。

まよったあげくに僕が選んだのは、今まで金払ってまで観たくないよなぁ~と思ってレンタルさえしなかった、でもちょっと気になっていた、まだ観てなかった映画。。。

ジュリア・ロバーツ主演の「ノッティングヒルの恋人」です。

ごらんになった方はご存じの通り、ラブコメのテンプレートともいうべき、典型的なステレオタイプの映画です。
そもそも僕はジュリア・ロバーツという女優さん自体がイメージとしてあまり好きではなかったこともあります。

ジュリア・ロバーツといえば「プリティー・ウーマン」。
美貌を売りに金持ち男に媚びて、みごと億万長者の玉の輿に、、、という絵に描いたようなシンデレラストーリーのイメージがうっとうしかったのかもしれません。
ところが「ノッティングヒルの恋人」は逆玉、というか、まあ簡単に言ってしまえば「プリティー・ウーマン」の裏焼き、というかネガとポジ、というか鯛焼きと鯛焼き用鉄板のような構造の映画に思えました。

要するに、あんなにうっとうしかったジュリア・ロバーツが、逆に大好きになってしまったのです。たぶん男性の目から見てそう見えるように、シナリオも作られているのでしょう。

改めて思うのは、ハリウッド流のバランスの取り方というのが極めてシンプルな、そして効果的な演出になっていることへの感服です。

トム・クルーズという俳優を、みなさんご存じかと思いますが僕は彼が「トップ・ガン」というアメリカ軍賛歌の映画に出た時に、大嫌いになりました。彼は空軍パイロットのヒーローの役だったからです。

そうこうするうちに、彼は「7月4日に生まれて」という戦争の悲惨さを描く映画に出ていて、それを観た僕はまた単純に、トム・クルーズもなかなかいい奴じゃないか、と思いました。

僕が単純すぎるのかもしれませんが、ハリウッドの政治的バランスの取り方は、まるでNHKの週刊こどもニュースのように、完璧でそしてシンプルな『両論併記』という手法で組み立てられているようであります。


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