偽ベートーベン事件から学んだ新たな疑惑

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偽ベートーベン2

 

 

 

 

 

佐村河内守氏の弁護士が辞任したという報道が昨日あった。最後の砦である弁護士にも見放されるとは、よくよくのことである。この一週間のあいだに様々な真相が明るみに出て、僕も自分なりに疑問を解消してきた。前回のブログを書いた2月8日の時点では、僕はこの人物について殆ど何も知らず、事実誤認の番組が放送された事にただただビックリして頭の中をクエスチョンマークが飛び交うばかりであった。

ブログを自分のFacebookに投稿して友人・知人たちに知恵を借りたところ、自分がいかに身障者手帳の問題や音楽業界について無知であるかがよくわかった。事実誤認の番組についてもFacebookではNHK内外の友人・知人たちから様々な角度からの見解をいただいた。外部からの意見では検証番組を求める声や演出過剰な姿勢に対するご批判などが寄せられた。内部からの意見では自分が編責であったとしても佐村河内氏のウソは見破れなかったかもしれないという率直な意見とともに、ねつ造の可能性を指摘する声まで飛び出した。これについては後ほど書きます。

僕がこの一週間に一連の報道を見ていて感じた事は大雑把にいって3つ。ゴーストライターとされる新垣隆氏は実はなかなかの好人物で、音楽家として相当レベルの高い人であったという印象。大嘘つきという奴は往生際が悪くどこまでもウソをつき続けるものなんだなあという印象。そして身障者手帳というものが視聴覚障害に対して意外にも無防備であったという印象です。とりわけ身障者手帳の発行をどうして医者も行政も許してしまったのか、という謎は僕の中で最も大きなものだったので、この謎が少しずつでも解明されていくのは嬉しいことです。その手帳のせいでみんな騙されてしまったと思うからです。

どうやら見えない、聞こえない、というのは本人が申告したら医師でも検証が難しいもののようです。目に異常があるのか、目から脳への神経系に異常があるのか、脳内に異常があるのか、はたまたウソなのか。脳波を検査すれば厳密なことが判明するそうですが、実際問題としてすべての視聴覚障害の人をそんなポリグラフみたいな機械にかけるのは現実的ではない。機械の数も限られているし人権問題にかかわる。それでなくてもデリケートな身障者の問題だけに、厳しく追及するのは避けたいというのもあるでしょう。でもデリケートな問題だからといってタブー視するという傾向がもしあるとすれば、そっちのほうがよろしくない現象だと僕は考えます。

タブーだからと目をそらしてしまえば真実が見えなくなるし、真実から目をそらしたまま番組を作ると結果的にひどいことになる。今回の問題でも結果的に多くの本物の視聴覚障害を持つ人にまで、不利益をもたらすことになりはしないか。それが心配なのであります。オーム事件のときも被告がヨーガ教室を模していた故に、町から善良なヨーガ教室の多くが姿を消しました。風評被害というやつです。宗教家たちも一斉に白い目でみられました。今回は本物の芸術家や本物の視聴覚障害の人に影響がなければ、と願うばかりです。

NHKの事実誤認番組については局が公式に謝罪しているし、会長が定例記者会見で「事実関係を調査中」であるとし、検証番組についても「現場とよく相談する」としているので僕からは何も言うことはありません。ただディレクターも本当に騙されていたのか、というねつ造疑惑については、何の証拠も無い今の段階では、企画を持ち込んだ外部ディレクターの古賀敦也氏のみが知るとだけ申し上げておきましょう。これまた風評被害で優秀な外部ディレクターたちが色眼鏡でみられるようになってはいけないからです。

一つ気になっているのは、僕はこの番組が急ごしらえで、制作期間中にはディレクターたちが佐村河内氏のウソを見破れなかった、と思い込んでいたのですが、、、どうやらやっかいな事実を発見してしまったようです。
当時のNHKのホームページからの引用です。

私が佐村河内さんと出会ったのは5年前。以来、激しい耳鳴りや偏頭痛に苦しみながら作品を生み出し続ける佐村河内さんをずっと見続けてきました。(以下略)

ディレクター 古賀敦也

wikiによれば、2008年9月の『筑紫哲也 NEWS23』(TBS)で、古賀敦也ディレクターは佐村河内氏を取材しているということなので5年前。計算が合います。おそらくこの引用部分は事実でしょう。だとしたらその5年間というのはいったい全体なんだったのか。

事実関係の調査には時間がかかりそうです。


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