反社会的カルト集団、旧統一教会の被害者を救済する試みが、今さかんに行われています。国も弁護士たちも動きはじめています。

金銭的被害を取り戻す上で、もっとも活動的なのが、昨年末に作られた全国統一教会被害対策弁護団です。被害を受けた本人または関係者からの通報に限りますが、主に献金や霊感商法などで支払った金銭を、少しでも多く取り戻すなど、約300人の弁護士が活動をしています。

似たような名前ですが、全国霊感商法対策弁護士連絡会というのも、熱心に統一教会に立ち向かっています。こちらは被害者本人による金銭的被害の訴えだけではなく、家族や関係者が被ったさまざまな被害に対応しています。どちらもこのサイトからのリンクによるメールフォームや、電話で相談を受け付けています。

旧統一教会以外の宗教による霊感商法、不当献金などを始め、さまざまな宗教トラブルに対応しているのが、日本弁護士連合会がやっている、日弁連無料法律相談受付フリーダイヤルです。こちらも2月末日までですが、他のカルト宗教、占いサイト、自己啓発セミナーなど幅広く対応してきたので、あと一月で終了してしまうのが残念です。

これらの法律的なサポートは、確かに重要ですが、宗教被害者の悩みは法律問題に限りません。独立行政法人日本司法支援センター(法テラス)が窓口を設けている、霊感商法等対応ダイヤルに寄せられる相談の多くは、心の悩みです。

特に統一教会における宗教二世、宗教三世の方の場合は深刻です。いつ入信したのですか、と聞くと赤ちゃんの時から、と答えます。両親はもちろん信者です。文鮮明による合同結婚式で祝福され、そして生まれたのが自分です。文鮮明を否定することで、自分自身の存在をも否定しなければならないのか、という絶望的な論理にも陥りかねません。

テレビで騒がれているのを見て悩み始めたが、自分が長年信じてきた宗教は「悪」の宗教なのか「善」の宗教なのか。これから自分は何を信じて生きていけば良いのか。悩んだ末に精神を病んでしまう人もいます。この人たちを誰が救うことができるのか、どうやって救うことができるのか、私は毎日自問自答しています。

マインドコントロールを受け入れてしまう現象は、いとも簡単に起こり得ます。そして一度マインドコントロール下におかれると、なかなか抜け出すことは容易ではありません。身近な占いサイト、自己啓発セミナーなどは実に巧妙に仕掛けられています。

キリスト教、イスラム教、ユダヤ教のように一神教の場合は、信仰がシンプルです。信仰の深さに程度の差こそあれ「信じるものは救われる」という言葉に代表されるように、信じるか信じないかだけです。日本は独特の宗教観を持つ国なので、反社会的カルト新宗教についても甘く、許容してきてしまったのではないでしょうか。

本来なら奈良時代、平安時代から伝わる伝統仏教や、古来愛されてきた神道が、もっと日本人の精神的支柱となってしっかりと受け皿になるべきだったと考えます。少なくとも文鮮明だとか池田大作といった、現代に生きた人をメシアとしてあがめる宗教は、まずは疑って見るのが賢明でしょう。

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