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1989年に日本のバブル経済が崩壊したとき、僕は29歳でした。どれくらいバブルだったかというと、僕は既に働いていましたが、25歳の時に新車のメルセデスベンツを買うことができ、イタリア語もできないのに1年間ローマに駐在していました、イタリア商工会議所から10億リラの現金と、アリタリア航空のファーストクラス世界一週分をいただきました。

パリに住んでいた友人からは、フランスの古城が2億円で買えるけどどうだい、と勧められました。六本木のタワマンはその頃既に一部屋2億円くらいしていました。東京近郊の農家だった友人は、田畑を売ってマンションのオーナーになり、ポルシェやフェラーリを乗り回していました。

要するに不労所得が異常に多かったのです。株価上昇の神話と、土地の価格上昇の神話だったのですが、その前の世代がモーレツに働いて高度経済成長時代を作ってくれたおかげでした。バブル崩壊後は就職氷河期が訪れ、株価も地価も低迷し、経済は発展しなくなりました。

バブル時代と、崩壊、そして失われた30年とも言われる大不況が日本を襲いました。その両方を知る僕にとって、あのバブル崩壊前夜と同じにおいが、この2024年の秋感じられるのです。

今の若い人には、戦争の時代があった、昭和の高度成長期があった、バブル経済期があった。そんな歴史として受け止められているようです。でもよく言ったもんです。歴史は繰り返すと。でも一度あった出来事だから、二度目はないと言いきれるでしょうか?

風邪は一度引いたから、もう引かないと言えますか? 震災はもう味わったから二度と来ないと思いますか? 戦争は過去のものであって二度と起こらないと言えますか?

僕は全てのものには始まりがあって終わりがある。という考えをする方です。だいたい30年周期ですね。人間に例えれば0歳でオギャーと産まれ、30歳くらいでこどもを授かり、60歳前後で孫が生まれて90歳で曽孫が産まれるもそれを認識できずに冥途へ旅立つ。

メディアで言うと、テレビの時代が30年続き、ネットの時代が30年続いた。(僕はインターネットの時代はまもなく終わると予言しています)そんな具合に30年経つとだいたいが世代交代し、自分が生まれる前の時代に起こった出来事を忘れてしまう。そして同じ過ちを犯す。

残念ながら人類の文化というのはそういうものです。そして日本経済に目を向けると、僕の嗅覚とは別に冷静な分析ができます。そもそも故安倍晋三さんが始めたアベノミクス。これが「プチバブル」と呼ばれるお粗末な経済政策でした。とにかくデフレ脱却と言うことで打ったカンフル剤に過ぎませんが、カンフル剤を30年間ダラダラと打ち続け、もはや限界です。

バブル景気を無理に起こそうとすると、デフレ脱却レベルではなく、ハイパーインフレーションになるおそれがあります。極度は超少子高齢社会となった日本では、極度の物価高という消費者にとって恐ろしい現象が起きるのです。

先日、自民党の総裁選で石破茂さんが当選しました。何も分かってない小泉進次郎や、日本を核保有国化する、という過激な高市早苗ではなく、石破茂さんになってちょっとは胸をなで下ろしています。彼ならなんとか野党第一党の立民代表の野田元総理が復活するのを止められるかも知れません。

誰が総理になっても、今の日本経済は立ち直ることもできず、地球温暖化の影響で水害も相次ぎ、なにより恐ろしいバブル崩壊というババを引くことになるのです。この時代に日本のリーダーになると言うことは、何をやっても上手く行かない、無能な総理大臣という汚名をかぶる不利な選択です。

アベノミクスは張本人の安倍晋三さんが亡くなったので、死者に鞭打つような真似はしにくいでしょう。となると今回の総裁選、さらに今月中にも行われる見通しの、衆議院議員総選挙で国民の信を問うことになるわけですが、裏金議員は一掃するとして、他に何ができるでしょう。

習近平やプーチン、トランプといった世界各国のリーダー達に勝てますか? 先日GDPでドイツに抜かれて世界第4位に落ちました。さらにまもなくインドに抜かれて、5位になるのは確実です。時の総理大臣として責任を問われる。まさにババ抜きゲームなのです。

もはやババ抜きも終盤に迫っており、あと2枚。どっちを引いたらババをつかむことになるのか。ババを引くくらいなら小泉進次郎に引かせて、ほら若いからダメだった、と責任を擦り付けるか、立民党の野田さんに引かせて、やっぱり立民だからダメだった、と言う方が賢いでしょう。

石破さんだったら責任を持ってアベノミクスの尻拭いをできるのか。バブルがはじけても国民の生活を保障できるのか。たぶん無理です。日本を滅ぼした首相として歴史に名を刻むのは、たぶん石破茂さんになるようです。

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