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別に晴山紋音さんに何か言いたい訳じゃないです。むしろ僕は晴山さんの大ファンです。なんと言っても名前がいいじゃないですか。晴れた山。これが本名なのだから、天気予報を聞く方も爽やかな気持ちになります。おまけにルックスもいい。

僕は最近ほとんどテレビを見ないのですが、朝と夜のセブン(NHKの7時のニュース)は見ます。そのいわばNHKの看板ニュース番組で、気象コーナーのキャスターとして、彼女は夕方のセブンの気象コーナーを堂々と務めています。「次は気象コーナー、晴山さんです」というメインキャスターのフリだけで、もうワクワクしてしまいます。

でも気象予報士というのは後からできた制度で、自分で天気予報をすることはできません。あくまでも予報をするのは気象庁であり、気象庁から発表されたデータを元に、分かりやすく説明するのが気象予報士の仕事というわけです。

僕自身も若い頃からなかなかの気象マニアです。ラジオの気象通報を聞きながら白地図の上に、点を打っていました。南大東島何ミリバール、石廊崎何ミリバール、と言った風に(なぜかその地名だけは覚えている)今はミリバールではなくてヘクトパスカルという単位を使いますが、とにかくただ気圧の値を書き込むだけです。だいたい1000hPa以上だと高気圧、それ以下だと低気圧、台風などでは発達すると950hPaくらいまで下がります。

もちろん、それだけでは気圧配置はもちろんのこと、高気圧か低気圧かも判断できません。つぎに同じくらいの気圧の点と点を結んで、等圧線というのを白地図の上に書いていきます。皆さんが新聞やテレビで見る天気図の原型は、その段階でようやくできる訳ですが、これがなかなか難しい作業です。同じくらいの気圧の地点でも、遠く離れたところだと別の高気圧または別の低気圧である可能性が高いので、等圧線で結んではいけません。その辺の勘所は職人技ですね。

さらに前線の影響も考慮しなければなりません。夏前とか秋口には、梅雨前線とか秋雨前線といった停滞前線の影響を受けることが多いです。前線には寒冷前線や温暖前線というものがありますが、今回は端折りましょう。要するに暖かい空気の下に冷たい空気が潜り込むのが寒冷前線。これは急な雨をもたらすことが多く、逆に暖かい空気が冷たい空気の上にゆっくり乗っていくのが温暖前線です。

なんで僕が等圧線まで自分で引くような気象マニアになったかというと、それは趣味がサーフィンだったからです。太平洋側のサーフィンに適した波がやってくるタイミングを知るには、天気図が欠かせません。日本に近づきすぎた低気圧は、すでに形の崩れた大波となりますので、サーフィンには適しません。ですからもっと南の日本地図には入らないような、台風の卵という段階での低気圧が、波を作り、それが長い距離を旅するうちに「うねり」という等間隔で綺麗な波となって、日本列島の海岸に達すると、抜群にサーフィンに適した波となります。

それを予想するのは昔は困難でした。新聞の天気図を見ても遠く離れた南方の情報は書かれていませんでした。今でこそ「ひまわり」「アメダス」といった気象衛生からの情報を元に、赤道付近の気象状況も入手できるようになったので、台風の位置を確かめることができるようになりました。ユーミンの作った「稲妻の少女」1999年では、

  • ゆうべ天気図にたくさん線引いて、台風の位置を確かめたのさ

とありますが、まあそんな時代だったのです。さらに後に一級小型船舶操縦士の免許を取るために、尾道の海技学校に合宿していた時も気象についての授業を受けました。ヨットに乗って公海上を行き来するのですから、太平洋ひとりぼっちじゃないけど、世界中を航海するにはそれなりの知識は必要だったわけです。僕自身はその授業よりもサーフィンのために波を読む方が、ずっとモチベーションが上がり、良く覚えました。

そんな僕も今では明日の天気はどうなのか。傘が必要なのかどうか。を知るだけで十分なので、もっぱらテレビの天気予報で気象予報士の解説に頼り切っています。そんなテレビの気象情報について、最近思うことがあります。この表現だけは使ってほしくない、3点です。

  • 明日の降水確率は40パーセントです。あるいは60パーセントです。
  • 念の為、折り畳み傘などあれば安心でしょう。
  • 明日は上に羽織るものなど、あると良いかもしれません。

あのな。。。降水確率20パーセントとか80パーセントなら許す。前者なら傘はいらないし、後者なら傘が必要です。でも40パーセントって何?

ひどいのになると降水確率50パーセント、なんてのもあるけど、それって結局傘はいるのか、いらないのか。まったく意味をなさない表現ですよね。気象庁が発表しているデータをそのまま使っているのか、気象予報士が考えて作った表現なのか知りませんが、視聴者が知りたいのは傘がいるのか、いらないのか、二択なのですから。

また「念の為」という表現もやめてほしいです。それを言い出したら1年365日、毎日そりゃあ折り畳み傘があった方が安心に決まっています。上に羽織るものだって、邪魔にならなければ、いつだって持って歩いた方が良いに決まっています。僕は個人的に折り畳み傘という中途半端な代物が嫌いです。少々の雨だったら濡れて歩いた方がまだスッキリする。片手に上着を下げて歩くのも不快です。

このように個人的に好みの分かれる問題については、結局のところ自己判断するしかないわけで、気象予報士が無理に表現する必要はないと思います。大雨が降る。晴れる。非常に寒い。非常に暑い。そういう時だけ教えてくれればいいと思います。あとは分からなければ、明日は分からない。と言えば良いのです。

20代の頃、タイのバンコクで、何気なく現地の人に「明日は天気がいいかな?」と尋ねたことがあります。相手は意味が分からない、という表情をして、返答に困っているようでした。僕の英語が通じていないのかも知れない、と思ってちょっと表現を変えて再び訊きました。「明日は雨が降ると思うかい? それとも雨が降らないと思うかい?」

すると彼はようやく意味がわかったようで、「ああ、ここでは毎日雨が降るし、毎日良く晴れるのさ」

僕の方が熱帯雨林性気候について、まったく理解していなかったのです。頭では理解しているようでも、実感としてわかっていなかったのでしょうね。だからあんな馬鹿げた質問をしてしまったわけで。。。

学校では日本は「温帯モンスーン気候」だと習った記憶がありますが、ここ数年の猛暑や大雨などの異常気候を見ていると、なんとなく日本も「熱帯雨林性気候」になってきているような気がします。地球温暖化という用語も、もともとはパリ協定で使われるようになった用語です。この用語を広めたのは「地球の掟」という著書もあるクリントン政権の副大統領アル・ゴアという人であり、一方ドナルド・トランプ大統領はパリ協定自体を否定しています。

政事的にはコロコロ変わる温暖化対策ですが、ヨーロッパの農園主などはさっさと手をつけています。フランスやイタリアの葡萄畑を売り払い、もっと北の方の気温の低い土地を買ってそこで葡萄を育てています。実務者たちは10年前から自分の農園の温暖化対策をやっているのです。政治家がなんと言おうと、科学者がなんと言おうと、実害を被るのは自分たちですから。メディアは時の政権によってコロコロと言うことが変わりますが、農作物は正直です。

一昔前は稲作には不向きとされた北海道でも、今ではちゃっかり水田を広げているようです。トランプがなんと言おうと、自分たちの身は自分たちで守る。それがこれからの温暖化対策ではないでしょうか。

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気象予報士にお願いしたいこと”で2思考

  1. 杉江さんはやらないだろうけど、当の気象予報士は降水確率40%で傘を持っていくそうです。

    1. 桝本さん、妙に詳しいですね。もしかして晴山さん推し?
      ちなみに僕は降水確率60%でも迷うところですね。
      男女差もあるだろうけど、結局は本文に書いたように個々人の価値観だから。

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