改憲の恐怖、緊急事態条項ってなんだ?
2026年2月8日に行われた衆議院銀総選挙で、3分の2以上の議席を握った高市首相は、ついに改憲に着手しました。選挙後の2月9日に記者会見の場で、時事通信の記者による質問に対して、後述のように述べました。大事な話なので僕は一字一句間違えないように、久々にメモを取りながら聞いていました。その一次情報を皆さんと共有したいと思います。
高市発言の引用
高市首相の言葉を引用する前に、そもそも憲法とは何なのか。もう一度確認しておく必要があるでしょう。法律の法律とも言われていて、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重などが定められているのは、教科書でも習った記憶があると思います。簡単にいえば一般の法律には「国民が守るべきこと」が書かれています。それに比べて憲法には「政治家や役人が守るべきこと」が書かれています。たとえ政治家が新しい法律を作っても、憲法に違反していれば、それは無効になります。違憲立法審査権という言葉を聞いた人も多いと思います。
つまり政治家が暴走しても、法治国家としてそれに歯止めをかける、という大事な役割が憲法にはあります。改憲には衆議院で3分の2以上の賛成、さらに参議院で3分の2以上の賛成、さらに国民審査で2分の1以上の賛成が必要、という厳しい条件をかけられています。政治家が勝手に好き放題できないようにしているのです。みなさんが教科書で習った三権分立の原則(立法、行政、司法)や言論の自由など、近代国家として非常によくできています。GHQの監修のもとに作った、と批判する人もいますが、当時のGHQは理想に燃えていて、戦後の復興の主体たる民主主義国家の夢を掲げたとも言えます。特に国連憲章とも並び称される存在です。今一度味わってみてください。
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
僕はこれを読むたびに、ジョン・レノンの「イマジン」という曲を思い浮かべます。たとえ世界がきれいごとでは片付かない、戦争の絶えない世の中であったとしても、僕はひたすら平和を祈願し続けるこのポエムを応援します。
さて、昨日の高市首相の記者会見での問答に戻りましょう。
彼女は記者会見の冒頭でも触れましたが、時事通信からスケジュールについて聞かれた時、以下引用です。
- 加速させ積極的な議論を進め
- 実現に向けて力強く
- 改正案を発議し
- 少しでも早く国民投票が行われる環境を作りたい
と述べました。特に僕が気になっているのは改正案の発議をできる、国会で3分の2の勢力を手中にしている、ということです。参議院はまだ伯仲しているものの、彼女はそうとうに改憲に前のめりである、ということは間違いないでしょう。改憲’するポイントは、というと、今だに憲法祭9条の問題だと勘違いしている人がいますが、第9条はもはや論点ではありません。すでに自衛隊を持ち、集団的自衛権まで認め、防衛費を倍増している現状からすれば、もはやこの条文をいじってどうこうという問題ではないのです。変えてもいいし、変えなくてもいい。事実上はすでに陸海空その他の武力を持っています。ここで自衛隊から自衛軍に名前を変えたところで、何も変わりはしないのです。
それよりも高市自民党が狙っているのは、緊急事態条項の導入です。

このような超法規的なマーシャルローが、今の日本に必要でしょうか。これは海外で見られるものの、クーデターや内乱が起きた時に、政府に全権を与えるものです。三権分立の原則も無視し、基本的人権も尊重せず、場合によっては徴兵制さえ首相の一存で可能になる。言論の自由も制限され、おかしいなと思った時にはもう反対の声を上げられなくなります。そうです。戦前の軍国主義の日本に戻り、ナチスドイツのような体制に一時的になる。これはクーデターや内乱で秩序を取り戻す時には有効ですが、果たして日本でクーデターや内乱が起きるでしょうか?
さらに何を以って緊急事態というのか。それさえも首相が勝手に決められます。首相が緊急事態だと言えば、台湾有事であっても緊急事態になるでしょう。僕はこのような緊急事態条項は決して憲法に入れるべきではない。どうしても憲法を変えたければ、第9条のみを変えればいいという考え方です。自民党の改憲草案はとんでもないものです。かつて記事にしたことがありますので、ぜひ読んでみてください。
自民党の憲法草案を丁寧に読んでみてビックリ、問題は9条以外の部分だった。
憲法改正「福祉」から「秩序」へ?
自民党憲法改正草案にみる「家族」概念の危険性
他にもこのブログで何人かの方が記事を書いてくださっているので、トップページ右上から虫眼鏡を選び「憲法」で検索してみてください。参考になる記事が沢山出てきます。
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参議院は参政党・国民民主と保守を足しても3分の2には行きませんね。2年半後の参議院選挙が分かれ目です。
おっしゃる通りです。参議院が良識の府、と呼ばれる大人の評価を下してほしいです。