2024年4月28日

なにがG7だ、何がグローバルサウスだ、と先日のブログ「G7は既にその意味を失っている?」で散々毒づきましたが、このところの各国の経済成長率や人口をみれば解るとおり、今後の世界のリーダーは、間違いなくインドです。

人口は14億2千860万人。ついに中国を抜いて世界一に躍り出ました。中国はかつての一人っ子政策の影響で、少子高齢化が進んでいます。そして人口動態調査のグラフ(すみません日本や中国のグラフと並べてみせれば良かったですね)を見ると、ビックリするほどきれいな、若者人口の多い典型的な経済成長の形を見せています。

基本的に人口の増えている国は経済も発展し、人口の減っている国は経済も低迷する。というのが原則です。だから日本も少子化対策に躍起なのです。インドのGDP(PPP)は、ちょっと目を離しているすきに、ここ5〜6年だと思いますが急成長を遂げ、アメリカ、中国についで世界第3位になりました。

働き手も優秀で大勢います。アメリカの科学者の12%、医師の38%、NASAの科学者の36%、マイクロソフトの従業員の34%、IBMの従業員の28%、インテルの従業員の17%、ゼロックスの従業員の13%がインド系アメリカ人であり、NASAの科学者の10%がアメリカ国籍を持たないインド人です。

インド人の多くは英語を話します。公用語はヒンディー語ですが、長かったイギリス統治時代の影響で、1億人ほどが英語を第一言語として使っています。かなりなまりのある英語で、ヒングリッシュ、と揶揄されることもありますが、はたして日本に英語を使える人が1億人もいるでしょうか。

軍事支出は、2018年では、665億ドルで、GDP比で約2.4%支出しており、世界で4番目でした。徴兵制はとらず、志願兵のみでも軍事支出は、7,659,800万米ドル。2021年の支出はアメリカ、中国についで世界第3位です。もちろん核兵器保有国で、軍事目的での宇宙開発、核の3本柱(Nuclear triad、ICBM、SLBM)戦略爆撃機の整備、ミサイル防衛システムの開発など多岐にわたります。現在は武器の国産化を急いでいます。

関係ないけど、映画の年間製作数もハリウッドをこえて世界一です。こんな超大国をなぜ新興国と呼べるのでしょうか。IT分野においては、先進国と呼んでいいと思います。いや超大国です。隣国パキスタンをはじめ、多くの国境線を持っていますし、15種類もある公用語、複雑な宗教事情のために、相当苦労しているとは思われます。今回のウクライナ侵攻に関して、簡単に欧米側につくことなく、モディ首相は中立の態度を見せました。

きっとどちらのグループに入らなくても、自力で一つの国としてやっていける。超大国としての自信を僕は感じました。ただモディ首相に関しては、非常に危険な人物だと思っています。民族義勇団という極右の団体の出身でインド人民党との人物です。民族義勇団(RSS)とは「ヒンディー教至上主義」がモットーです。インドにおける過激なイスラム差別やガンジーの暗殺者を愛国者とする歴史修正などを行っています。

マハトマ・ガンジーと言えば、非暴力非服従を掲げてインド独立をはたした、有名な建国の父です。そのガンジーは、1948年に民族義勇団メンバーのナトラム・ヴィナヤック・ゴドセによって暗殺されました。拳銃によって、胸を3発打たれたのです。

このゴドセを愛国者としてまつり挙げたのが、モディ首相です。銅像を作ったり、ドキュメンタリー映画『Desh Bhakt Nathuram Godse』(「愛国者ナトラム・ゴドセ」の意)が、ガンディー暗殺の日にあわせて公開されたりしました。こういった歴史修正主義者を僕は許せません。

国民の8割がヒンディー教徒であるインドにおいて、ヒンディー教至上主義が支持されるのは、当然かも知れません。しかし権力による歴史修正はいかがなものでしょうか。

僕はインドと日本には共通点が2つあると思います。

  • 極東国際軍事裁判(東京裁判)において、インド代表判事パール判事は、「イギリスやアメリカが無罪なら、日本も無罪である」と主張した。唯一の国である。
  • キリスト教やイスラム教、仏教といった世界宗教ではなく、その一国でしか通用しない特有の宗教が信じられている。(インドにおけるヒンディー教、日本における神道)

なんとなく上手くやっていけそうにも思います。なんといっても世界一の人口を持ち、経済的にもぐんぐんと成長を続けるインドですからね。冒頭で触れた人口動態調査のグラフにも、将来の成功を約束する、理想的な形が現れています。日本は真逆ですから、今から少子化対策を高じても、間に合うのかな、という疑問が残ります。

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2023年6月5日追記:

いまさらですが、2022年の日本、アメリカ、中国のグラフもアップしておきます。大切なのは今現在ではなく、数十年単位の推移と傾向です。労働人口と高齢者人口のバランスです。「ピラミッド型」「つりがね型」「ツボ型」「逆ピラミッド型」と若年人口の多い順に分類されます。「ピラミッド型」はまだまだこれから伸びる状態。「つりがね型」は今絶頂期で経済も安定し、経済成長には理想的です。「ツボ型」はまだ労働人口も十分あるものの、少子化が進み経済は後退局面に入った危険な状態です。「逆ピラミッド型」は(まだ見たことがありませんが)国として破綻している状態です。引退した高齢者ばかりで、稼げる労働人口は少なく、将来労働人口になるべき子供たちも産まれていない。必然的に財政は破綻するしかない。と言うわけです。

それではまず日本。典型的な「ツボ型」ですね。65歳以上の高齢者が多いのが目立ち、それに比べて15歳未満の数は…。

アメリカ。なんとか「つりがね型」を保っています。

中国。絶頂期の労働人口は50歳から59歳であり、この人達は10年後どうしているか。また5歳未満の人口が激減しているのが気になります。

そして先ほども申し上げたとおり、重要なのは現在の状況よりも、何十年単位での推移です。日本の推移を見てみましょう。

すみません。インドの話をしていたのに、人口ピラミッドの画像を追記していたら、話がそれて日本の超少子高齢社会の話になりそうです。これについては後日また改めて記事にしますので、今日はインドの話で終わらせて下さい。

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