六四天安門事件の本当の問題点

本来ならば一昨日(5月35日)に公開するつもりでしたが、当日は中国当局によるネット検閲も厳しかろうと思って、本日公開します。これまでも僕はこの事件について書いてきましたが、必ずしも正確ではありませんでした。

5月35日天安門事件から25年

日本のメディアは、例えば報道局国際部といった部署であっても、海外の主要メディアの報道に頼っているのが実情です。それもその国の国営放送、公共放送、信頼できる新聞社などです。新聞社ならばニューヨーク・タイムズ、ワシントンポスト、英国のガーディアン紙などです。

日本人によく知られているニューヨーク・タイムズの発行部数は、およそ48万部。ワシントンポストもほぼ同数です。読売新聞が663万部、朝日新聞が397万部であるのと比較するとほぼ1割です。アメリカ人は全国紙をほとんど読んでいないのです。アメリカ人の多くは、各州の地方紙を読んでいます。地方紙には公正中立という概念はなく、例えば選挙前にはその州が支持する候補者を、全力で支援する記事があふれます。

紙の新聞の時代ではありませんね。日本でデジタル版を購読する新聞社は日本経済新聞で、500万人を突破して最も最先端らしいです。そういう話ではありませんね。テレビ局でいうと最も信頼されているのがイギリスのBBC、そしてアメリカのCNNあたりでしょうか。フランスのフランス2、ドイツのZDFあたりも、よく参照されます。大手メディアにはフランス語ペラペラ、ドイツ語ペラペラの記者がごまんといますから、くまなくチェックができます。

これらの日本メディアが頼りにしている海外メディアの共通点は、すべて欧米諸国(G7、NATO)いわゆる西側諸国のメディアだと言うことです。もちろんロシア第1テレビ、中国中央電視台(CCTV)、朝鮮中央テレビなどもリアルタイムでチェックしていますが、すべて国営であり、各国政府の公式見解の発表としては。という扱いです。

さてようやく本題に入りましょう。前回の記事を書いた時点では、すべて西側諸国での報道に頼って書きましたが、今回はなるべく世界中の関係者の一次情報を含めて検討しました。

1989年6月4日、革新派の学生達が天安門広場に集まってデモをしていた所、中国人民解放軍の戦車が鎮圧のためにやってきて、丸腰で無抵抗なデモ隊を踏み潰したり発砲したりし、1万人以上の犠牲者を出した。

という人権に関わる大問題です。前回の記事の冒頭画像でも使った、有名な「戦車の前の男」という写真とともに、市民であるデモ隊に国軍が銃を向ける、というあってはならない虐殺として広まりました。ほとんどは真実ですが、一部西側のプロパガンダとしての要素もあると、今回気がつきました。

  • 天安門広場の敷地内では、一発の発砲もなく、誰も死んでいない

紛争が行われたのは、天安門広場に向かう道路上であり、軍が天安門広場に到着した時には、デモ隊は解散をはじめていて、全員がおとなしく帰路についたようです。広場の中か外かという些細な問題ですが、僕はてっきり天安門広場内において、虐殺が行われたと思い込んでいました。

  • 犠牲者1万人以上、と言われているが、その人数は誰が確認したのか

犠牲者の人数については諸説あり、英国公文書では1万人以上、とされているが、それが市民なのか、市民と兵士双方なのかわからない。ソ連に送られた公文書では3000人、中国赤十字によると2600人。今僕が言えることは1000人以上だったということです。いずれにしても虐殺であることに変わりはありません。

  • 詳細が分からないのは、中国共産党が報道管制、情報統制を徹底的に行ったため。それこそが大問題。

広場の中か外か、なんてどうでもいい。犠牲者が10000人か1000人かもどうでもいい。34年たった今でも、中国政府は情報統制を行っており、香港や澳門を除く中華人民共和国内の検索エンジン(Yahoo!やGoogle、MSNなど)では、「六四天安門事件」などの特定のキーワードで検索すると、接続不可能になるのです。また、Twitterやhotmail、ウィキペディアも接続遮断されます。

この情報統制こそが大問題で、最も重大な人権侵害です。中国政府はこの虐殺事件を無かったことにする、という歴史改ざんを行っています。実際30年以上たった今、中国の若い人に該当インタビューをすると、「天安門事件?なんですか、それ?」という反応が返ってくることもあります。

昔同僚だったCCTVのアナウンサーと、こんな会話をしたことがあります。

「天安門事件?もちろん知ってます。でも私はCCTVの職員だから絶対に言えません。言ったら翌日には別のアナウンサーがここに座ることになるだけです」
「勇気を出して言ってみれば?」
「私を日本に亡命させてくれますか?」
「それは、さすがに無理ですね」
「でしょう。だからおとなしく業務に励むのみです」

プロのジャーナリストでさえ、このような状態です。一般市民に何ができるでしょうか。今、舞台は中国本土から、香港に移っているようです。私たち外国メディアは、この人権侵害と虐殺事件を、忘れないようにする。そして政府による情報統制には断固反対する。毎年この日が来るたびに、これを思い出し、風化させないように、取り上げることでしょう。

中国に真の人権と自由が訪れますように!

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