2024年4月28日

最近では長野県中野市の4人殺害がニュースになっていますが、僕は50年近く殺人、暴行致死、無差別テロなどの凶悪犯罪を見てきて、なんとも言えない違和感を覚えています。昭和の頃の殺人事件とは異なる共通点があり、僕はこれを「拡大自殺」と定義しています。

もちろん「拡大自殺」という言葉は辞書を引いても載っていませんし、犯罪心理学のどの文献にも論文にも使われていません。たった今、僕自身が使い始めた用語だからです。

何が昔からの殺人事件(サスペンス劇場などのドラマから得た知識に過ぎませんが)と、昨今の殺人事件「拡大自殺」とは異なるのでしょうか。まずは昔からの殺人事件における共通点。

  • 明確な動機がある
  • 人目につかないところで行われる
  • 捜査を攪乱するために、証拠隠滅をはかる
  • 自分は海外逃亡などを含め、逃亡を続ける準備がある

これに対して「拡大自殺」の場合はどうでしょうか。

  • 明確な動機がない
  • 白昼堂々と行われる
  • 捜査の攪乱や証拠隠滅は行わず、その場で無抵抗で警察に逮捕される
  • 逃亡の意図はなく、極刑に処される覚悟がある

僕たちの目には、あまりにも幼稚な殺人事件に見えます。長野県中野市の事件も、猟銃を使って警察官2名を射殺して立てこもりましたが、抵抗というにはあまりにも稚拙です。警察は2人や3人ではなく、長野県警や近隣の警察本部、場合によっては警視庁まで大量に動員できますから、猟銃一本で相手ができるわけがないことを、犯人も知っていたはずです。

安倍元首相を射殺した犯人も、周囲が警察だらけであることを知っていて、報道された映像を見る限り、全くと言って良いほど無抵抗で身柄を確保されていました。

そうです。彼らは逮捕され起訴され裁判の結果、自分が死刑となることを知っていた。もっと言えば死刑になることを望んでいたと僕は考えています。自分の手で自殺を図ること無く、国家の力を借りて死を達成したい。そのためには多くの無関係な人々を巻き込み、犠牲にすることをいとわない、とんでもなく醜悪で悪質な犯罪だと思うのです。

その背景には、失われた30年とよばれる日本経済の低迷、それに伴う貧困、平和から分断に向かう世界状況、そういった将来に期待できない絶望感があるのではないでしょうか。この日本で生きていたって、この先何も良いことはない。こういった時代が抱える閉塞感は、30年以上続いています。それは僕も感じていますが、死のうとは思いません。

ましてや「拡大自殺」など発想もしませんでした。しかし最近頻発する事件をニュースでみているうちに、もしかしたら彼らは死にたいのではないか、と考えざるを得ませんでした。そしてこの悪夢を説明する用語として、「拡大自殺」という用語が生まれました。

みなさん、日本の将来を諦めてはいけません。将来に夢と希望を与える、実行力のあるリーダーを選び、自分たちの手で未来を切り拓いて行きましょう。

あなたのその悩み、死んでも解決しません。

こころのオンライン避難所  https://jscp.or.jp/lp/selfcare/ 電話相談0120−783−556
#いのちSOShttps://www.lifelink.or.jp/inochisos/ 電話相談0120−061−338
などSNSでも相談できます。

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2023年5月30日追記:
「拡大自殺」という用語、僕が長年にわたって思いつき、1人であたためてきた言葉なので、てっきり自分の造語だと思い込んでいました。ところが賢明な読者の方から「その用語、既に使われているよ」と指摘を受けました。2022年3月24日、精神科医の片田珠美先生が書かれた記事の中で「拡大自殺」という用語が丁寧に解説されています。偶然とは言え、同じ外延を持つ記号は、同じ内包を持つということでしょうか。

改めて本文中の「自分の造語である」といった部分に関して訂正するとともに、片田珠美先生に敬意を表します。またタイトルも変更しました。片山先生の記事の内容は、私の記事と概ね同様ですが、私の記事よりはるかに丁寧かつ正確です。あわせてお読み頂くことを推奨致します。

https://www.nippon.com/ja/in-depth/d00790/  拡大自殺:無差別大量殺人の連鎖はなぜ起きるのか?

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