NYC,NYで選ばれたマムダニ市長とは?
ニューヨーク市長選でゾーラン・マムダニ氏が当選して話題に登っています。任期は4年ですからトランプ大統領より長く民主党政権が続くことになり、やっと左派が注目されだしたか、と期待する人も多かったのではないでしょうか。実際に同じ日に別の州で二人の民主党の州知事が生まれていますから、アンチ・トランプの風が吹いているのは確かかも知れません。
でもちょっと待ってください。実はこのマムダニ氏に投票した人の多くは、ちょっと前までトランプ支持者でもあったのです。え、どういうことだ?と思ったでしょう。トランプ氏とマムダニ氏に共通しているのは、極端なポピュリストだということです。
ポピュリズムというのは、分かりやすいスローガンを掲げ、無責任に民衆を扇動する人々のことだと考えています。右派左派を問わず、急進派の人はポピュリズムに陥ることが多いようです。トランプの場合はMAGA(メイク・アメリカ・グレート・アゲイン)だったように、マムダニ氏の場合はバスなどの公共交通機関を無料にする、家賃の値上げを4年間凍結する、などシュプレヒコールを挙げていました。
都市部ではこのようなスローガンが支持を集めやすいのです。ウガンダ生まれでインド系イスラム教徒のマムダニ氏の場合は(初のイスラム教徒による首長らしいが、それはNYCの場合は全く問題ではない)とにかくNYCという地域の特殊性に着目しないと理解できません。
僕がNYCにいた当時、(ちょうど911同時多発テロの直前でしたから、あと数ヶ月NYCに留まっていたら自分もやられていたタイミングですが)すでにNYCはアメリカではありませんでした。いわゆるアメリカ人はアフリカ系アメリカ人を含めても、人口の3分の1しかおらず、国際都市というべき存在でした。今はもっと極端に白人系アメリカ人の多い地方の差が出ているかと思います。
物価や家賃は極端に高く、てか持家率も低くて富裕層でも賃貸、冬は日本で言えば北海道並みに寒い。それがNYCの印象です。東京23区の家賃はすでに高く、月に20万から30万でしたが、NYCはその倍の40万から60万は必要でした。ラーメン一杯食べるのも最低3000円はする、とんでもない物価高でした。僕はマンハッタンを避けてクイーンズに滞在していましたが、基本的には個人でマンハッタンに滞在するのは常人のすることではない、と感じていました。
それでも世界中から優秀な人材が集まり、移民の街NYCを形作っていました。そこがこの街の魅力でもあり存在価値でもあった。というところから考えてみると、同じポピュリスト政権であっても、排外主義者であるトランプ大統領よりは、マムダニ市長のほうがまだ期待が持てます。マムダニ市長であれば国からの給付金を止める、などと言って脅しましたが、そのやり方自体が子供染みていて、僕にはとても共感できるものではありません。
その意味ではアンチ・トランプという一点において、僕はアメリカが分断するなら、民主党政権へとの流れを歓迎する者です。そしてもはやアメリカではないNYCを、国際都市としての試みが成功するように期待を持って見守っていきたいと思います。
高市首相については、今なおご本人が国会で頑張っているようですが、3ヶ月のハネムーン時期の真っ只中ですので、あえて僕からは何も述べません。来年もしくは解散総選挙となった頃に発言していきます。
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